「仕事おこし」とは何か?

キャッシュ


NPOワーカーズコープはNさんに謝罪せよ 2008.09.07

ワーカーズコープ労協センター事業団のウェブを見ると、センター事業団の自己定義があります。
「センター事業団は人と地域に役立つ仕事をおこす、『仕事おこし』の協同組合です」「私たちは誰かに雇われるのではなく、自分たちで出資をし、地域に必要な仕事をおこしてきました」とのこと。

さらに、センター事業団の略史を 見ますと、2001年に「市民による福祉事業の新たな担い手テとしてNPOワーカーズコープを設立しました」とあります。その後、2004年に「NPO ワーカーズコープ初の指定管理者事業として、『墨田区いきいきプラザ』の運営がスタートしました」とされ、現在にいたります。

センター事業団の2002年の事業高構成比がネットで公開されています。2002年ですから、地方自治法の改定により地方自治体の指定管理者制度が実施される前です。総額、約82億円。

その一方で、2007年の事業分野別事業高として、同様のグラフが2008年版のセンター事業団パンフで公開されています(9ページ)。
http://center.roukyou.gr.jp/0_SecondaryContents/download/file/2008pamphlet.pdf

事業分野の切り分けが異なっているので、単純な比較はできません。しかしながら、おおまかに、2002年と2007年の事業を比較してみると、どの分野の事業が伸びたのかが分析できます。

2002 年の福祉関連事業は2007年の介護事業及び福祉用具に相当すると考えられ、2002年の協同組合間提携事業は、おおまかには2007年の物流と考えられ ます(例:労協船橋事業団のちばコープ物流センター)。あきらかに新規の事業であるのが、公共施設運営および子育て関連。

単純計算を行います。
2007年事業高: 10,200百万円
2007年NPOワーカーズコープによる事業高: 2,659百万円
公共施設運営: 1,371百万円
子育て関連: 1,236百万円

10,200-(1,371+1,236) = 7,593百万円
おそらくは、これが2002年当時実施していた事業による2007年の事業高

1,371+1,236 = 2,607
公共施設運営と子育て関連の合計。NPOワーカーズコープの事業高にほぼ一致

センター事業団は、「様々な地域密着事業や指定管理者への挑戦は主に、NPOワーカーズコープとして行って」」(NPOワーカーズコープ・blogに よる)います。センター事業団の2008年版のパンフを見ますと、「地域・自治体との協同」の事業紹介と「子育て支援事業」の紹介で同じ受託事業も紹介さ れていますので、切り分けがはっきりしませんが、おおよそのところ2002年末から2007年末までの5年間でのセンター事業団の事業高の成長はNPOワーカーズコープの設立と、それによる自治体関連事業の受託と思われます。

センター事業団が労働者協同組合運動の先進事例として、企画・提案等や就労支援通じて「仕事おこし」してきた従来からの分野の事業高減少が気になります。それと同時に、事業高の1/4を占めているNPOワーカーズコープの事業高が、はたしてこれは「仕事おこし」なのか気にかかるところです。

指定管理者制度をはじめとした制度は、センター事業団のウェブにも「『民でやれるものは民へ』と、公共性の極めて高いサービスや施設の管理・運営が急速に民営化されています」と書いてあるとおり、小泉「改革」の新自由主義政策の中でと、行政の役割放棄とコスト優先の施策の中で実施されているものです。

指 定管理者制度は、いわばビジネスチャンスではありましょう。これを営利に利用せんとする企業に対して、「行政サービスの『市民化・社会化』」を目指すワー カーズコープはどのような対応をするべきでしょうか。営利企業による指定管理への代替案として、労協の理念・政策の企画・提案を通じた質の高い住民サービ スの提案であるべきと思います。自治体の提示する参考積算金額に惑わされることなく、社会的に妥当な積算を堂々と提示して、営利企業に対する協同労働の優 位を示せばよい(実際にそういった事例もあると思いますが)と考えます。

いま、センター事業団は全国各地で、地方自治体の指定管理者選定 や公共サービスの受託にかけまわっているようです。選定や受託を受けた地域でNPOワーカーズコープとして求人を行っています。しかしながら、指定管理者 選定は数年ごとに再選定があります。そこで選定から外れた場合には、職員はどうなるのでしょう。

労働者協同組合とはいえ、その存立する所 与の経済的基盤は、資本主義社会です。資本主義の法則として、労協の事業であっても、それは継続的に競争に晒されます。その中で労協が生き残る道は何か。 コスト競争ではないと思います。コストで取った仕事の行き着く先は、労働条件の切り下げでしかありません。コスト競争の帰着するところは、結局は労働現場 におけるコスト圧縮であり、これは労協が最高の価値とする「人間らしい労働」の理念に反するものです。理念に反してまで事業拡大に走るならば、それは労協 の死滅です。

2008年版のセンター事業団パンフには、センター事業団の役割のひとつとして「労働者協同組合の典型(モデル)を創り出すこと」とあります。現在、その事業の1/4を占めるに至っているNPOワーカーズコープの事業拡大ですが、なにか「焼畑農業」的な危うさを感じます。

「行 政サービスの『市場化・営利化』ではなく、『市民化・社会化』を目指します」とのセンター事業団の理念は共感できるものです。営利企業による指定管理よ り、労協による指定管理がはるかに望ましいことは言うまでもありません。しかし、例えばこのblogで問題としている事業所の「なごやボランティアNPO センター」の事例は、これに合致しているでしょうか。

NPOワーカーズコープは2007年に名古屋市により実施された2008年度から4 年間の指定管理者選定に応募して、結果として「なごやボランティアNPOセンター」の指定管理者に選定されているわけですが、実はNPOセンターは 2004年4月から2008年3月まで、名古屋の地域NPOが「ぼらんぼコンソーシアム」という協同団体を設立して、指定管理者として業務を行っていまし た。いわば、地域NPOによる仕事おこし。 「なごやボランティアNPOセンター」においてのNPOワーカーズコープの指定管理者選定は、4年間に渡って仕事をおこしてきた地域NPOを、いわば押し のける形で行われています(下記参考)。結果、これまで指定管理者として仕事をされてきた方は、新しい仕事を探さなくてはなりませんでした。

根源的な疑問です。
これは、社会的に見て「仕事おこし」なのでしょうか。
「働く者どうしの協同」「地域との協同」なのでしょうか。

*参考:
選定の経緯は、NPOボランタリーネイバーズが名古屋市の情報公開制度を活用して入手した資料をサイトで公開し ていますが、選定の決定の決め手となっているのは、選定委員会議事要旨にあるとおり、コンソーシアムの積算の3500万円の収支計画に対してワーカーズ コープが3100万円の収支計画を提示していることです。議事録によれば、選定委員の方も「31,000千円でぼらんぽセンターがやると言えば状況は変る と思う」と発言しています。

関連サイト:
「やりがい」さえあれば労働条件が劣悪でもよいのか? - 世界の片隅でニュースを読む

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