労協は「モノが言える職場」か?

キャッシュ

NPOワーカーズコープはNさんに謝罪せよ 2008.09.08

「協同の発見」という雑誌がある。2000年頃の号からPDF化され、現在のところ、2006年分ぐらいまで、電子化がされている。

協同総合研究所(協 同総研)という研究機関が出している雑誌。協同総研の沿革を、そのホームページかあ抜粋してみると、その設立は1991年。日本労働者協同組合連合会の呼 びかけで設立されている。そのメンバーは学者・研究者だけでなく、協同組合の実践家や活動家が含まれ、協同組合方式で運営されている。労協運動及びその周 辺の協同組合運動の研究に特化した研究機関であり、理論と実践の相互作用・統一を目論んだ研究所に思える。

いろいろとブラウジングしていると、難解な文章あり、おもしろい文章あり、頭を悩ませたり、おもわずにやりとしたりする。特に、こういったワーカーズコープに対して、その理念に共感しつつ、その理念との乖離を批判するサイトで文章を書いていると、なにやら宝の箱に思えてくるのである。

数年前の資料。「協同の発見」2005年10月 第159号
に<労協  2004年仕事と暮らしに関するアンケート調査報告>と称する調査レポートが掲載されている。指定管理者制度が2003年からスタートしたせいだろうか、残念ながら公共施設関連のデータが他分野の仕事を分けて分析されていないのが残念。

おもしろいのが「労働者協同組合(事業団) の事業経営に関する意識」の統計データ。

組合経営への参加意識が「ある」「ない」「わからない」「無回答」で分けてグラフにしてあるのだが、これは「わからない」は「ない」と数えるべきであろう。おおむね6割程度が「ない」および「わからない」となっている。要するに「経営への参加意識がある」が4割程度。

その一方で、職場・事業所の「団会議」への参加率であるが、食品加工の例外を除いて8割から5割の間の数字。グラフ化されていないが、「団会議」での発言率の数字があげられていて、「毎回発言」から「質問程度」までをあわせて約6割。

お よそ、民間企業を含む経営体にあっては、会議がその経営方針なりについての伝達や討議の場であり、自己の職場における位置確認の場であると思うのだが、 「経営への参加意識がある」との4割に対して、「団会議参加率」と「団会議発言率」をかけあわせると、おそらく労協事業所における中核的存在が、事業所の 3割から5割であろうと目される。これは「自分の意見が反映された事業所運営になっている」かどうかの質問についての「そう思う」と「比較的そう思う」の 割合にも合致。

問題は「職場で本音が言えるか」のアンケート。この質問については「無回答」は否定項目に加算するべきであろう。「余り言えない」「全く言えない」に「無回答」をプラスすると、販売・売店の2割を最小値として、おおよそ3割から4割超が「職場の民主的風土・雰囲気の認識」について、本音の言えない雰囲気を感じている。最大は廃棄物関連の事業所で、6割の人が本音を言えない空気を感じている。販売・売店で、比較的自由な空気が流れているのは、気心を知った相棒とつるんで仕事できる職場だからだろう。

ちなみに、「本音が 言えない雰囲気」を察することを、「空気を読む」と言う。、「空気が読めない」を、最近はKYと称し、「空気が読めないのを理由に不当解雇」するのを 「KY解雇」と称する。すなわち、KY解雇とは、「職場の民主的風土・雰囲気」をないがしろにする解雇であり、徹底して民主主義になじまないものである。

さて、おおよそ3割~4割の「本音を言えない」であるが、これが民間企業と比較して多いのか少ないのか、残念ながら、類似する統計データを見つけることができなかったので、これはなんとも言えない。しかしながら、「本音を言えない」と感じている3割から4割の人については、おおよそアンケート項目への回答についてもバイアスがかかっていることが考えられる。特に「本音を言えるか」とのセンシティブな項目については、なおさらである。どの程度の割合か、想像できないのであるが、3割から4割という「本音を言えない」との数字は上方修正されるべきであろう。これは何も、このアンケートに限ったことでなく、「気持ちを質問するアンケート」一般について共通のことであろうけれど。

閑話休題。実は、私の会社でも、最近、アンケート項目こそ異なるものの「モチベーション調査」なる無記名アンケートがあったのである。基本的に家父長的風土の強い会社であり、やはりアンケート結果にもバイアスがかかった、不思議な結果が出たのであった。

日 本労働者協同組合連合会のサイトに、全組合員経営の定義がある。「全組合員経営とは、出資をし、自ら主人公(主体者-本物の労協組合員)らしく成長してい こうとする組合員の努力を基本として、事業所(基礎組織)において、情報の共有、話し合い、よい仕事、健全経営、仕事の拡大など一つひとつの取り組みを着 実に発展させながら、自治能力を高め、事業所が全面的に発展していく経営路線です」とのこと。

「本物の労協組合員」とは何だろうか。「偽者の労協組合員」があるのだろうか。まさか、経営参加意識のある4割だけが本物と言うのだろうか。であるならば、労協の過半数は偽者である。

そ れはともかく、「よい仕事」を「質の高い仕事」と表現すれば、「情報の共有、話し合い、よい仕事、健全経営、仕事の拡大」など、民間経営でもスローガンと されている。民間企業と労働者協同組合と、いったい何が違うのかといえば、資本主義社会においては抑圧されているところの、社会の主人公であるという労働 者の本来的な姿を、協同組合運動を通じて実現していこうというその理念ではあるまいか。出資による共同所有は協同組合性の保証たりえない。法人としての経 営形態は営利会社をとっていようとなんだろうと、実際のところ、協同組合を協同組合たらしめるのは協同組合の原則であろう。

協同組合のアイデンティティーに関するICA宣言によれば、協同組合の定義とは「自発的に結合した人々の自主自律の組織体であり、その目的は自分たちがオーナーとなって民主的に運営する企業体によって、みんなに共通の経済的、社会的、文化的な必要を充たし願望を達成することにある」。

協同組合運動は、「自助、自己責任、民主主義、平等、公正、連帯をその基本的価値とする運動である。協同組合の組合員は、創始者たちの伝統を受け継いで、誠実、開放性、社会に対する責任、他人への配慮という倫理的な価値をその信条としている」のである。

「職場で本音が言えるか」のアンケートが「職場の民主的風土・雰囲気の認識」とされるのは、協同総研ならではであろう。

経営参加意識のある4割に対して、3~4割の「物言えぬ」組合員。
私には、このアンケート結果は深刻に思える。

民間企業においても民主主義が尊重されなければないのはもちろんであるが、労働者協同組合においてはなおさら、民主主義は徹底されなければならない。協同の源泉は参加者の平等であり、その内実は民主主義である。各人の意見の尊重されないところに協同は無い。

経 営においては、管理と統制は必須である。それゆえに、経営において民主主義を貫徹するには、マネージメントたる事務局の認識が問われる。つまりは、実際の 労働現場において何が起こっているかである。それが民主主義が機能しているのか、あるいは経営支配に陥っているかのメルクマールであろう。

「本物の労協組合員」と「偽者の労協組合員」という言葉があった。
なにが本物で、なにが偽者なのか。
理念と現実が問われる。

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