Re:労働力の支出の代価としての賃金――という範疇

http://8918.teacup.com/rev21/bbs/28

杉本 一平
2008年12月17日

> No.27[元記事へ]

hirohiroさんへのお返事です。

hirohiroさん卒直な質問を頂きました。
次の方々が、次のようなことを述べています。
http://associated-work.jp/02hatena.html
協同労働って何?
NPO法人との違いは?
NPO法人も公益性が強い、非営利の活動をしていますが、そのベースは、ボランティア(有償、無償)です。
「協同労働の協同組合」の場合、継続性のある<労働=対価をお金でもらう>により、そのミッションに取り組みます。
事業性の強い仕事をしているNPO法人も、かなり増えていますが、むしろこれらの法人の多くは<労働を通じて、公益性を求めている点>で協同労働の協同組合の理念に近いものがあるように思います。
また、活動する人たちの組織へのかかわりで見た場合、NPO法人は、参加する人(構成メンバー)に出資の規定はなく、ボランティアベースでミッション達 成を目指す<かかわり方>となりますが、協同労働の協同組合では、参加する人(組合員)は、お金を出し(協同で出資)、労力を提供(協同で働く)という、 積極的なかかわり方となります。
このようにお互いの組織が目指している姿には、違いがあります。

ここでのNPO法人と協同労働の協同組合との区別は、Hirohiroさんも、そして私も、どなたでも合意できることです。
しかし、
>「協同労働の協同組合」の場合、継続性のある<労働=対価をお金でもらう>により、そのミッションに取り組みます
――に対しては、そのとおりであり、また、そのとおりではない二つの答えが出てきます。

その理由を、私は以前にこう述べています。

Re協同組合理論問題解決に向けたお願い投稿者:杉本投稿日:2008年 8月18
>労働者は労働力商品・・・
という規定の下で、論議すれば、「労働者生産協同組合で働く」――ことに前提されている現象としての労働力の支出の代価としての賃金――を認めなければな りません。必要労働と剰余労働もみとめねばなりません。つまり、この設問には解答が決められているか、あるいは回答不能なのです。

hirohiroさん
>労働力の支出の代価としての賃金――という範疇を介在させれば、労協に参加費用を支払い・協同運営する人も、労協で賃労働する人も区別できなくなります。「資本を必要とするが資本家を必要とはしない」と述べるリカード派社会主義の誤りがここには一つあります。
私達の脳内を支配するスターリン経済学の批判について、わたしは次のように述べて、その問題の解決の一分野について次のように述べています。次の見解につ いて、貴方の意見がいただければ幸いです。勿論、価値形成過程・価値増殖過程についても未来掲示板にて私は述べていますので、しばらくして再掲したいと思 います。

労働過程 投稿者:杉本 投稿日:2008年 1月 8日(火)

①労働過程では生産手段と労働力は対立しているのか?
「すなわち、生産手段は、あらゆる労働過程の要素として観察されている。この労働過程の内部においては、それは生産の質量的要因として人的要因たる労働力に対立しているのである。」(『資本論註解』ローゼンベルグ第一巻第一分冊P273第七書房刊)
「そして前記の労働対象とこの労働手段とが生産手段と総称される。こうして生産的労働の要素をなすものは、主体的要素である労働力と客体的要素である生産手段とに大別されるのである。」(『資本論入門』岡崎次郎著国民文庫)

上記のように、<労働過程では生産手段と労働力は対立>と述べる、両者の主張は、彼独自のものでなく、以下紹介する第二インターの首領カウツキ―のものでもあったのです。

②労働過程と生産的消費の混同
カウツキ―の『資本論解説』から紹介します。
「2 商品生産の労働行程
労働用具は人類の発達上最も重要なるものである。生産上の様式は先ずこの労働用具によって決定される。労働用具によって決定された各生産方法は更にその特殊の生産方法を決定し、それに法律上、宗教上、哲学上、ならびに藝術上の相応した上部建築を与える。
生産機関(即ち労働対象および労働用具)と労働力とは、あらゆる生産方法の下において、使用価値生産の、換言すれば労働行程の要素をなすものであるが、 然し此行程の社会的性質は、生産方法次第で種々異なってくる。」(『資本論解説』P114~115 高畠素之訳大正13年刊而立社発行)

上記から理解されるように、「生産機関」とは生産手段のことであり、それと、労働対象や労働手段との差異はなく同一概念とされている。ところが、生産手段 は、生きた労働の対象的要因でしかないので両者は分離している。しかし、労働過程の三要素(労働・労働対象・手段)であればそれらに分離は無く融合してい る。

それらの混同の原因が、分離と融合にあるとマルクスは主張している。
「過程は生産物においては消失する。過程の生産物は、使用価値であり形態変化によって人間の欲求に適合させられた自然素材である。労働はその対象と結合した。労働は対象化されており、対象は加工されている。」(『資本論』五章)

マルクスさん「労働はその対象と結合した。労働は対象化されており、対象は加工されている」ことが、その結果としての使用価値として現れる労働生産物では、消失して、それらの融合は見えないという。
この融合こそが、労働過程を示すことについて、草稿でマルクスはこう述べている。

「現実的労働が用具を取得する(わが物とする)のは自らの手段としてであり、材料を取得するのは自らの活動の材料としてである。現実的労働は、これらの対 象を、生気を与えられた肉体として、労働そのものの諸器官として取得する過程である。ここでは材料は、労働の非有機的な自然として、労働手段は取得する活 動そのものの器官として現れる。」(『資本論草稿集』4P90)

「現実的労働は、これらの対象を、生気を与えられた肉体として、労働そのものの諸器官として取得する過程」――工業ではなかなか見出し得ないのですが、過 程の進行する姿の見える農業では明白ですね。何百年と続けられている自然に支えられての人間と自然の格闘を垣間見せる段々畑の美しさ・感動がそうです。

融合された両者として、「労働手段は取得する活動そのものの器官」である――
のに、ところが、その結果としての使用価値・労働生産物を見ると、転変してしまうのですね。

「したがって、諸生産物は、それらが生産諸手段として新たな労働過程に入りこむことによって生産物という性格を失う。それらはもはや、生きた労働の対象的 要因として機能するだけである。紡績工は、紡錘を紡ぐ手段としてのみ取りあつかい、亜麻を紡ぐ対象としてのみ取りあつかう。」(『資本論』五章)
生産手段と生きた労働とは融合せず、分離しているのです。

そこで、次のような表象が発生するのです。

「彼(資本家)の立場からは、労働過程は彼が買った商品である労働力の消費にすぎないが、しかし彼はこの労働力に生産諸手段をつけ加えることによってのみ、それを消費することができる。」(同上)

生産手段と労働力の「生産的消費」による生産物の形成とは、超歴史的な労働過程ではなく、今日の資本制的生産を抽象したものなのですね。生産的消費と労働過程との無区別となれば、商品生産の労働過程と価値形成過程の二面的性格は、理解できないものになりますね・・・

③マルクスが労働過程を主張することの意義
マルクスは、「労働過程」として提起する意義をこう述べていたのです

「原材料および労働用具として労働によって消費されるのは、資本家ではない。また消費するのも資本家でなくて、労働者である。そこで資本の生産過程は、資 本の生産過程として現れずに、生産過程そのものとして現れ、また労働と区別された形では、資本は、ただ原材料と労働用具という素材的規定性でだけ現れる。 経済学者たちが、資本をあらゆる生産過程の必要な要素として説明するために固定化するのは、この側面――即ち恣意的な抽象であるばかりでなく、過程それ自 体のうちで行われる抽象――である。・・・略・・・社会主義者たちが、われわれは資本を必要とするが資本家を必要とはしないと言うのも無理はなかろう。そ の場合資本は純然たる物と考えられているのであって、生産関係とは考えられていない。」(『経済学批判要綱』ⅡP223)

「そこで資本の生産過程は、資本の生産過程として現れずに、生産過程そのものとして現れ」とは、「生産的消費」を批判するものであり、物としてのみ現れる労働対象諸条件が、商品の生産過程の一面では物象であることを批判するものだったのですね。

これまでのカウツキーの主張する労働手段体系説に対しての批判は、
「技術とは人間実践(生産的実践)に於ける客観的法則性の意識的適用である。」(『弁証法の諸問題』)であったのですね。しかしこれでは肝心の「生産的消 費」への批判が無く、物象化に伴う物化の批判が出来ないのですから、――「われわれは資本を必要とするが資本家を必要とはしない」リカード派社会主義は批 判できないですね。

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